2013年6月16日(日)、久米島町に位置する沖縄県海洋深層水研究所で、海洋温度差発電(OTEC:Ocean Thermal Energy Conversion)の通電式が執り行われました。川上好久副知事、島尻安伊子内閣府政務官、平良朝幸久米島町長の3名が、発電のスイッチを押し、式典の後に行われたレセプションでは海洋温度差発電への熱意や意気込み、期待の意などが、多くの出席者の前で語られました。中でも平良朝幸久米島町長は、自然エネルギーの活用に一石を投じることができたことから、今後は温度差発電を中心に深層水利用の先進地として挑戦したいという意気込みを表明しました。
久米島の海洋温度差発電とは?
海洋温度差発電といえば、ちょうど一年前の2012年7月に、実証事業がスタートする旨が発表されています。(過去記事参照)その後、2013年4月から、いよいよ50キロワットの小規模での発電実験がスタートしました。今後はさらに発電能力1メガワットを超える大規模な設備を導入するために、準備を進める計画も打ち出されています。
そもそも海洋温度差発電とは、海洋深層水と、海面の表層水との温度差を利用して発電する仕組みのことで、まだまだ世界的にも研究事例の少ない最先端のプラントです。海洋温度差発電は、再生可能なエネルギーであることや、多量なエネルギー供給源であること、年間を通じて安定した電力供給が可能であることなど、多数のメリットがあることから、近年期待が高まっています。
沖縄・久米島は最適の地!まだまだ課題も
そんな海洋温度差発電の実証・研究が、そもそもなぜこの沖縄・久米島の地で行われているのでしょうか。それは、もちろん海洋深層水の存在が前提としてありますが、その深層水と表層水との温度差が20度以上を保つことのできる亜熱帯の気候であることが一番の理由となっています。沖縄・久米島は、まさに海洋温度差発電を行うのに適した土地なのです。また、発電後の深層水を水産業や農業など多分野で複合的に利用できる地域であることにも注目されています。
しかしながら、海洋温度差発電にはまだまだ課題があります。その一つとして、深海から大量の海水をくみ上げるのに莫大なコストがかかってしまうことが挙げられています。OTECのプラントでは、深層水をくみ上げるのに巨大なパイプが必要になるため、とても高価な設備を要します。いくら再生可能な大量エネルギー源であっても、発電コストの効率が良くなければ、従来の発電方法に劣ってしまいます。今後、どのようにこの課題を解決していくかということが、将来、世界中で海洋温度差発電が一般化されるための鍵となるでしょう。
過去記事
参考記事