その久米島海洋深層水を利用した海洋深層水研究所での「海洋温度差発電」が、ついに実証事業として本格的に開始されることが決まりました。
横河電機、IHIプラント、ゼネシスの3社が「平成24年度海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」に参加し、久米島の海洋深層水及び、表層水を利用する発電である海洋温度差発電の実証事業を開始する旨が2012年7月9日に発表されました。
2013年3月までには、小型の実証設備を設置し稼働させる予定であると言います。
この「海洋温度差発電」とは、分かりやすく言うと、まず比較的温度の高い水温25~30℃の海洋表層水を利用して、アンモニアなどの沸点の低い気体を気化し、その蒸気で「タービン」という原動機を回転させて発電します。その後、気化された液体を、今度は5~7℃の温度の低い海洋深層水を用いた熱交換ユニットで液体に戻します。そうしてまた表層水によって気化され、また発電、その後、また海洋深層水により液体に戻すといった工程の繰り返しで、タービンを回転させ続けます。これが海洋温度差発電の仕組みです。(図参照)
この「海洋温度差発電」は、海洋に蓄えられた熱エネルギーを有効活用するクリーンで再生可能なエネルギーの一つとして注目されています。表層水と深層水の温度差は20度以上必要となり、特に表層水の温度が高い沖縄の久米島のような熱帯・亜熱帯地域に適した発電方法です。この海洋温度差発電方法自体は、今に始まったものではなく、1881年にフランスの物理学者ジャック=アルセーヌ・ダルソンバールが提案した歴史ある発電方法でもあります。
このように海洋深層水は、人体への良い影響だけでなく、クリーンな次世代再生エネルギーとしての大きな可能性をも持ち合わせています。海洋温度差発電を通して、近年の工業化による環境問題に悩まされている私たちに、将来への希望の光を差し示してくれているかのように思えます。
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