沖縄県久米島の海洋深層水研究所で、海洋温度差発電の実証実験が動き出す

皆さんは、沖縄本島の西約100キロメートルにある久米島の東海岸に位置する、海洋深層水研究所をご存知でしょうか。この海洋深層水研究所は、農業および水産分野における海洋深層水の利活用に関する研究を行っているところです。そしてこの研究所で研究開発された技術は、生産者や企業等に移転され、新商品および新技術の開発や新分野への進出が促されることで貢献されています。

 

 

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当研究所では、これまでに海洋深層水を利用したクルマエビの母エビ養成に関する技術や、海洋深層水を利用した海藻類(クビレズタ・フロリダ産オゴノリ)の陸上養殖に関する技術などの提供がなされています。

 

その海洋深層水研究所において、今年2012年5月に、いよいよ、以前より取り組まれてきた海洋温度差発電の実証実験が動き出すことが明らかになりました。出力100キロワット級の発電プラントを設置し、年度内にも発電を始める計画だそうです。

海洋深層水の低温安定性を利用する海洋温度差発電とは

 

海洋温度差発電とは、海洋深層水の低温安定性を利用した発電方法で、従来の火力発電や水力発電、風力発電、原子力発電などとは異なる新しい発電方法として注目を集めています。

 

記事によれば、海洋温度差発電とは、「600~1000メートル程度の深海のセ氏5~7度程度の冷たい深層水と25~30度程度の表層の海水の温度差を利用して発電する『海の地熱発電』である」と定義されています。具体的には、深層水と表層水の温度差を利用し、アンモニア水などを沸騰させて発電する方法で電力を供給します。

 

海洋深層水は、水温を始め、含まれる成分が年間を通して一定であり、表層水と比較して水質が安定しているという「低温安定性」を特徴として持っています。この海洋深層水の一つの大きな特徴である「低温安定性」が利用されているのが、この海洋温度差発電なのです。

 

海洋深層水研究所では、すでに海洋深層水を使ってエビの養殖や野菜の栽培などの研究が行われており、新たに取水工事の必要がなく、従来の取水方式により、海洋温度差発電の実証実験へと展開するようです。

海洋温度差発電のメリット

 

この海洋温度差発電は、従来の火力発電や水力発電、風力発電、原子力発電などと比べてどのような利点があるのでしょうか。

 

日本の電力の6~7割を占めている火力発電は、地球温暖化の原因である二酸化炭素を多量に排出することや、大気汚染の原因となり得る硫黄酸化物や窒素酸化物を排出することなどが問題視されています。また、原子力発電は震災の影響により大きな打撃を受けたように、放射能漏洩が常に問題点として挙げられます。

 

このような従来の発電方法にとって代わる安全で環境に優しい地熱・海洋エネルギーを利用した発電方法が、近年研究され続けています。
海洋温度差発電だけでなく、地熱発電や海流発電、波力発電、潮流発電、温泉発電などが多くの研究所や企業によってその技術が開発され、実現化されています。

 

中でも、海洋温度差発電は、近海に海溝を多数あり、無限の資源を持つ日本にとって、潜在発電能力がかなり高いと言われています。同じ海洋エネルギーでも、海洋温度差発電は、波力発電の8倍、海流発電の15倍、潮流発電の25倍以上とされています。また、コストも火力発電の約1/2まで引き下げるのが目標とされ、現在実現化が目指されています。

 

この海洋温度差発電のメリットとしては、「クリーンで再生可能なエネルギーである」ことや、「1兆KWの発電が可能であるという多量なエネルギー供給源である」ということ、さらに風力発電や太陽光発電などのように天候に左右されず、「年間を通じて安定した電力供給が可能である」ということが挙げられます。また、もっとも大きいのは、火力発電で問題視されている二酸化炭素排出による地球温暖化への影響が、この海洋温度差発電では大きくカバーできるという点にあります。海洋温度差発電は、この二酸化炭素の排出量が他に比べ極めて少ない発電方式だからです。

 

海洋深層水はこのように海洋温度差発電にも貢献できるもので、ますます「すごい!」ことが分かりましたね。

 

参考記事

 

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