血圧降下について(2)

血圧降下!血圧降下(2)

テーマ:室戸海洋深層水から調製した高ミネラル飲料の動脈硬化および高血圧予防効果に関する研究

 動脈硬化を高い割合で発症する遺伝性高コレステロール血症(以下、KHC※1)ウサギを用いた実験で、室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」※2を摂取することにより、大動脈硬化病変の改善傾向ならびに血圧上昇抑制があることを赤穂化成株式会社が確認し、第9回海洋深層水利用研究会全国大会で発表されました。
 これまで、室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」の飲用が健康に及ぼす影響については、様々な検証を行われてきました。運動前の飲用が運動時の血圧上昇を抑制する傾向にあることや、食事との同時摂取が食後の血中脂質の上昇を抑制することも報告されています。さらに、「第42回日本臨床生理学会総会」において、動脈硬化を高い割合で発症するウサギを用いた実験で、高ミネラル水「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を摂取することにより、血圧下降作用があることが確認されました。
 発表によると、動脈硬化が発症し始める4ヶ月齢のウサギに対し、「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を飲用させた場合、動脈硬化ならびに高血圧予防に対してどのような影響を及ぼすかが検査されています。この研究は、4ヶ月齢の雄性ウサギを血清総コレステロール濃度の平均値と標準偏差がほぼ等しくなるように2群に分けました。試験群には「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を、対照群には水道水※3を6ヶ月間摂取させた後、大動脈血圧、血流量および硬化病変面積などを測定し、さらに免疫組織学的検討も行われました。
 その結果は、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、脈圧及びAIx※4は「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を摂取した試験群の方が有意に低い値を示しています。上行平均血流量や心拍数、一回拍出量は両群間で有意差はみられませんでしたが、総末梢血管抵抗※5で室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を摂取した試験群の方が有意に低い値を示しました。また、大動脈硬化病変面積率に有意差はみられませんでしたが、「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を摂取した試験群の方が小さい傾向にありました。
 免疫組織学的検討では、試験群の動脈硬化部位においてVEGF受容体※6の発現がやや少ない傾向が認められ、動脈硬化の抑制傾向が示唆されました。さらに、試験群において、大動脈全体としてAT1受容体※7発現の低下が予想され、血圧低下因子の一つである可能性も考えられます。
 これにより、「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」の飲用が、大動脈硬化病変の改善傾向ならびに血圧上昇抑制が認められました。

※1:KHC......高コレステロール血症を自然発症するKurosawa and Kusanagi-Hypercholesterolemicの略。
※2の成分構成......Mg:200mg/L、Ca:71mg/L、Na:74mg/L、K:69mg/L、硬度1000mg/L
※3の成分構成......Mg:3mg/L、Ca:15mg/L、Na:22mg/L、K:3mg/L、硬度52mg/L
※4:AIx......末梢からの反射波成分の指標である圧脈派augmentation indexの略。AIxは最近用いられるようになった指標で、上行大動脈の圧脈派で、脈圧全体に対する心臓から末梢に伝えられる駆動派の比として計算されます。心臓から末梢に送られた圧脈派は血管抵抗が高い部分で反射して心臓の方向へ帰りますが、高血圧になると末梢血管が収縮して血行動態が悪くなり、反射波が大きくなるために、AIxが高くなります。動脈硬化などで血管壁が硬くなっても脈圧は大きく、反射派もAIxも増加します。
※5:総末梢血管抵抗......平均血圧を平均血流量で割った値。
※6:VEGF受容体......血管内皮成長因子vascular endothelial growth factor (VEGF)に対する受容体。VEGFは血管内皮細胞に存在するVEGF受容体に結合して血管内皮細胞の増殖と分化を誘導する働きを持ちます。
※7:AT1受容体......AT1受容体はアンギオテンシンⅡに対する受容体。アンギオテンシンⅡに対する受容体には2種類のサブタイプ、タイプ1(AT1)とタイプ2(AT2)がある。AT1受容体は血管収縮作用があり、動脈硬化を促進する作用があるといわれています。それに対して、AT2受容体はその反対の血管拡張があり、抗動脈硬化作用があるといわれています。

【研究概要】

■研究員

安川岳志、中川光司(赤穂化成株式会社 技術開発部)
勝田新一郎、三宅将生、挾間章博(福島県立医科大学医学部生理学第一講座)
片平清昭(福島県立医学科大学医学部附属実験動物研究施設)
清水 強(諏訪マタニティクリニック附属清水宇宙生理学研究所)

■研究内容

研究期間......2004年12月~2005年5月 6ヶ月間
サンプル......4ヶ月齢の雄性KHCウサギ 24匹
サンプル飲料
試験水......室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」
(Mg:200mg/L、Ca:71mg/L、Na:74mg/L、K:69mg/L、硬度1000mg/L)
対照水......滅菌水道水(福島市水道局給水)
(Mg:3mg/L、Ca:15mg/L、Na:22mg/L、K:3mg/L、硬度52mg/L)
研究方法......雄性KHCウサギを血清総コレステロール濃度の平均値と標準偏差が試験群と対照群でほぼ等しくなるように2群に割り当てる。
試験群は試験水(「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」)を、対照群には対照水(水道水)を自由摂取させる。(飼料は、市販のウサギ用固型飼料を1日100g与える)
測定項目......飲水摂取量(月1回測定)、体重(月1回測定)
血液生化学検査(試験開始時、終了時測定)
  血圧・心拍出量、Alx等(試験終了後測定)
病変面積率(摘出大動脈において測定)
抗体を用いたタンパクの発現比較(摘出大動脈において測定)

■研究結果

①「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」を摂取した試験群は動脈硬化病変の改善傾向が認められ、有意な血圧上昇抑制と圧脈波のAIxの低下が認められました。
②免疫組織学的検討では、海洋深層水群においてプラークでのVEGF受容体の発現がやや少ない傾向にあることが認められ、動脈硬化の抑制傾向が示唆されました。
③「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」の飲用において、大動脈全体としてAT1受容体発現の低下が予想され、血圧低下因子の一つである可能性が示唆されました。
④「室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)」の飲用は、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防効果を有する可能性が示唆されました。

(参考資料1)
             :対照群 水道水 飲用
             :試験群 室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)飲用
          平均値±標準偏差

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【解説】動脈硬化の粥腫(プラーク形成)が起きた部位における抗血管内皮成長因子受容体であるVEGF受容体の発現を示しますが、発色が弱いことからわかるように、深層水投与群でやや少ない傾向が認められました。VEGF受容体は、血管内皮傷害の程度に応じて発現が進むと考えられていることから、深層水投与群の方が、血管内皮傷害がやや軽度であることが示唆されました。従って、深層水群で動脈硬化がやや軽度であり、抑制傾向にあることが示唆されました。

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【解説】アンギオテンシンⅡ受容体であるAT1の発現につきましては、両群で差は認められませんでした。しかしながら、先のスライドで示しましたように、深層水群で有意差はないものの平均値で大動脈の硬化病変面積(グラフ参照)の縮小傾向が認められたことから、深層水群のプラークの少ない部分を観察したところ、AT1の発現が少ないことが観察されました。従いまして、深層水群においてはAT1受容体の発現が大動脈全体として低下していることが予想され、このAT1受容体は、血圧上昇との関係が指摘されていることから、先ほど示した血圧低下の要因の一つである可能性が示唆されました。

□資料提供:赤穂化成株式会社
・発表日:2005年11月11日
・発表会名:第9回海洋深層水利用研究会全国大会
・発表者:赤穂化成株式会社

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