室戸海洋深層水より調製した高ミネラル飲料がヒトの唾液中S-IgAに及ぼす影響

口内免疫室戸海洋深層水より調製した高ミネラル飲料がヒトの唾液中S-IgAに及ぼす影響


 室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000、250)に含まれるミネラル量が唾液中の分泌型IgA(以下、S-IgA)※1に与える影響について赤穂化成株式会社が検討、その結果が第10回海洋深層水利用学会で発表されました。
 口腔は食物や飲料を体内に取り入れる入口であり、外界からのあらゆる異物を受け入れる門戸ともいえます。そのため口腔の生体防御機構は、風邪などの経口感染や経気道感染などの感染経路によって引き起こされる疾病を予防し、生体の恒常性を維持する上でも非常に重要と考えられます。
 特にS-IgAは、口腔の粘膜免疫機構の主役です。赤穂化成株式会社ではこれまで、日本大学大学院総合科学研究科と共同で、にがりの主成分:塩化マグネシウムが唾液中のS-IgAに与える影響についての研究を進め、生体防御に有益である可能性を示す結果を得ています。(2004年12月11日、第49回唾液腺学会で発表)
 今回の研究では、にがりよりマグネシウム濃度の低い高ミネラル飲料の洗口、および飲用が口腔内の免疫を上昇させるかどうかを検討。室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000、250)をサンプルとして使用、コントロールとして純水を使用しました。唾液の採取はサンプルによる刺激前、刺激直後、1、2、3時間後の計5回実施し、高ミネラル飲料による刺激は1分間の洗口または250mlを2分間で飲用することにより実施。各刺激を加えた後に採取した唾液中S-IgAを測定しました。
 この結果、S-IgA濃度は洗口・飲用ともに全てのサンプルにおいて刺激前と比較して刺激後に増加する傾向が認められました。また、S-IgA濃度と唾液量によって算出されるS-IgA量は、洗口・飲用ともに全てのサンプルにおいて刺激前と比較して、刺激後に有意に増加しました(p<0.05)。なかでも、室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)は純水と比較して上昇率が高い傾向が認められました。
 以上の結果より、にがりよりマグネシウム濃度の低い室戸海洋深層水100%飲料の洗口、および飲用にも唾液中S-IgA濃度を増加させる効果があることが示されました。特に高ミネラル飲料の飲用は、より手軽な免疫力増強の新しい方法として期待されます。

※1:S-IgA・・・分泌型IgA(Secretory IgA)。微生物の粘膜・硬組織への付着防止、ウィルス・細菌・毒素を凝集・中和する働きがある。

【研究概要】

■研究員

端口佳宏、太井秀行、魚住嘉伸、渡邉康光(赤穂化成株式会社 技術開発部)
茂呂周(日本大学大学院 総合科学研究科 生命科学)

■研究内容

テーマ 海洋深層水より調製した高ミネラル飲料がヒトの唾液中S-IgAに及ぼす影響
研究時期 2005年10月~2006年7月
検査対象 健康な男性  12名 36±3歳

■方法

①室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000、250)をサンプルとして使用、コントロールとして純水を使用。

高ミネラル飲料中のミネラル量

62_R_R.jpg

②唾液採取前に被験者の口内に出血が無いことを確認し、座位で5分間のうちに口腔に貯留する混合唾液を試験管に採取し、唾液量を測定。唾液の採取はサンプルによる刺激前、刺激直後、1、2、3時間後の計5回実施。
③室戸海洋深層水100%飲料による刺激は洗口または飲用で実施。洗口による刺激は、室戸海洋深層水100%飲料で口腔内を1分間洗口することで実施。飲用による刺激は、室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000、250)250mLを2分間かけて飲用することで実施。
④各刺激を加えた後にサンプルを吐出後、直ちに口腔内に残留するサンプルを洗浄するため、蒸留水を用いて1分間口腔内をすすいだ。
⑤採取した唾液は直ちに遠心分離(3000rpm、10分間)を行い、上清を取得。
⑥得られた上清は緩衝液を用いて40倍に希釈し、唾液中S-IgAを測定。S-IgAの測定にはEIA S-IgA測定キット(MBL社製)と、マイクロプレートリーダー(BioLad社製)を用いて実施。

■検査結果

・唾液量は各サンプル間で差が見られなかった。
・S-IgA濃度は、純水、硬度250、1000でサンプル使用前と比較して使用後に増加する傾向が見られた。
・S-IgA量は、純水、硬度250、1000でサンプル使用前と比較して使用後に有意(p<0.05)な増加が確認された。また、この増加量は純水よりも硬度250、1000において高い傾向が見られた。

 ≪参考データ≫
【S-IgA量の比較(飲用)】
室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000、250)の飲用が唾液中S-IgA量に及ぼす影響

63_R_R.jpg

全サンプルにおいて、飲用後に有意な唾液中のS-IgA量の上昇が認められた。
なかでも硬度1000の上昇率は純水、硬度250と比較して大きかった。
→唾液中のS-IgA量は、マグネシウム濃度に依存して増加する傾向がありました。

□資料提供:赤穂化成株式会社
・発表日:2006年11月17日
・発表会名:第10回海洋深層水利用学会全国大会
・発表者:赤穂化成株式会社

MENU

PAGE TOP