エコノミークラス症候群予防?エコノミークラス症候群と深層海水
日本医科大学新東京国際空港クリニック(空港クリニック)では、開設以来、8年4ヶ月の患者総数は117,953名、うち空港勤務者85,543名(72.5%)、旅客24,241名(24.3%)、その他3,107名(3.2%)でした。
最近1年間の患者総数は15,983名。うち空港勤務者9,820名(61.4%)、旅客4,424名(27.7%)、航空機乗務員1,097名(6.9%)、その他642名(4.0%)。外国人患者数は1,247(7.8%)でした。
救急患者対応件数は、これまで8年4ヶ月で2,696件。うち空港内往診152件(5.6%)、救急車による搬入578件(21.4%)、車いす・ストレッチャーなどによる搬入1,966件(73.0%)。外国人救急患者は500件(18.5%)。急患の男女比は1,334:1,362でやや女性が多く、平均年齢は、39±18.3歳で、患者総数に占める割合は2.3%でした。
急患2,696件の男女別重症度は以下のとおりです。重篤31件(1.2%)、21件(0.8%)、重症293件(10.9%)、175件(6.5%)、中等症734件(27.2%)、915件(33.9%)、軽症276件(10.2%)、251件(9.3%)で、重篤・重症例は324件(12.0%)、196件(7.3%)と男性が女性より1.7倍多く、後方病院転院搬送例は710件(26.3%)、空港クリニック来院時心肺停止例および死亡例は47件でした。
死亡例47例の男女比は28:19と男性に多く、年齢は14〜84歳、平均64.0歳。死亡原因は旅行者血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)25例(53.2%)、虚血性心疾患9例(19.1%)、脳血管障害4例(8.5%)、末期癌による悪液質2例(4.3%)、その他7例(14.9%)でした。
旅行者血栓症が強く疑われた重篤・重症例は75例(2.8%)。年齢は21〜95歳、平均59.1歳。男女比は31:44と女性に多く、25例が死亡しました。生存例は50例(1.9%)、下肢深部静脈血栓および肺血栓塞栓症に対して確定診断が得られたのは14例(18.9%)。残り61例(81.3%)は、病態発症状況および臨床症状から同疾患と診断しました。
旅行者血栓症と診断された14例の年齢は48〜78歳、平均62±9.0歳。男女比は1:13で圧倒的に女性が多く、生存例は12例、死亡例は2例(66歳、69歳の女性)。男女比は1:11でした。
旅行者血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)は、下肢深部静脈血栓症が大きな原因と考えられますが、未解明な部分も多く散見され、航空機を含む長時間の座位が、環境因子や身体のリスクファクターと、いかに関わっているかを考察します。
この旅行者血栓症と密接に関連する血栓形成に、マグネシウムが予防方向にはたらくことはよく知られています※1。また、近年健康飲料として普及しつつある、「室戸海洋深層水100%飲料」には、マグネシウム等のミネラルが豊富に含まれており、これを飲用することで血流の改善効果等が認められています※2。このことより、「室戸海洋深層水を飲用することで、水の補給に加え、上記ミネラルを即効的に摂取できることから旅行者血栓症の予防が期待されます。
〔文献〕
※1:Hwang,D.L.,C.F.and Nadler,J.L.:Effect of extracellular magnesium on platelet activation and intracellular calcium mobilization.Am.J.Hypertens.,5:700-706,1992
※2:太井秀行、中川光司、渡辺康光、横山嘉人、中島宏、池上良成、野崎豊、菊池佑二:海洋深層水ミネラルの長期摂取がヘモレオロジーに及ぼす影響、ヘモレオロジー研究会誌、第4巻、21-25、2001
□資料提供:赤穂化成株式会社
・発表日:2001年11月1・2日
・発表会名:第23回日本健康増進学会
・発表者:日本医科大学新東京国際空港クリニック所長
日本医科大学救急医学教室講師 牧野俊郎