「むろっと」の人気商品になった「コンフィ」は、室戸岬の近海で定置網漁により水揚されるマルソウダを、水揚げ後すぐに魚を受け取り、鮮度のいい状態で地域のお母さんと、一つずつ丁寧に捌き、そして、海洋深層水につけこみ塩味をほどよくつけた後、くせの少ない米油と、袋に詰め真空梱包をおこなった後、加熱します。そのため、旨みは逃げることなく、袋の中へ閉じ込められています。マルソウダは、旨みの多い魚のため一般的には、宗田節の原料として利用されており、鮮度低下が早く、普段は鮮魚として市場に出回ることがなく、パスタに、サラダに、お酒のツマミに、旨み溢れる風味が、その珍しさも手伝って人気である。
もちろん、青のりの加工品も看板商品!青のりは四万十川の河口産が有名だが、水温の上昇や水質の悪化で生産量が激減。最盛期の1980年代には年間62トンだった収穫量が今は2トンになっていて、青のりの価格は上昇し、今では1キロ1万円という高値が付くので、海洋深層水の養殖青のりの価格が高くても、何とか戦えるそうである。
室戸のトコブシも1999年に32トン獲れていたものが、今は8トンで、小売り段階での価格が高い。つまり、養殖する価値がある訳である。
蜂谷さんの起業によって室戸にも少しずつ仕事が生まれていて、うみ路ではパートを含む10人を雇用しており、また、市の施設である「室戸世界ジオパークセンター」にあるカフェ「ジオカフェ」と土産物店「ジオショップ」の運営を受託している。
前田和子さん(左)と蜂谷さん
室戸市は市とは言っても人口はわずか1万5000人で、全国の市の中でも下から5番目。おまけに、高知市内から車で2時間はかかり、人口減少に苦しんでいるのは言うまでもなく、そんな中で、室戸での蜂谷さんの取り組みが、活性化の起爆剤になると期待が寄せられている。
「WEDGE Infinity」より転載