久米島の海洋深層水で世界初の一貫した陸上養殖される安全な牡蠣

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ジーオー・ファームの研究施設で生育された養殖カキ=沖縄県久米島町宇根

 

一般的に牡蠣の養殖といえば海上が一般的。
蠣は海中の植物性プランクトンを食べて成長するが、雑菌が多く含まれる地域の湾などでは、牡蠣がノロウィルスなども取り込む危険性があると言われてきた。

 

ゼネラル・オイスターは全国でオイスターバーを展開しているが、その子会社のジーオー・ファーム(沖縄県久米島町、鷲足恭子社長)が、久米島町の海洋深層水を使ってカキの陸上養殖を始める。卵の受精から成貝に生育するまで、一貫して陸上で行うのは世界初の試み。拠点となる施設を11月にも建設予定で、早ければ2017年度内に久米島産カキとして全国に出荷する予定。雑菌がいない海洋深層水を用いることで、ウィルスフリーの食あたりしない「安心、安全なカキ」となる。

 

いくら浄化加工してもウィルスを100%除去することは不可能だということで、陸上プラントに着目。はじめからウィルスに感染しない環境で養殖すれば、安全なまま出荷することがでできるという訳である。

 

海水中の植物プランクトンを餌にするカキは、1時間に20リットルの海水を体内で循環させるため、海で養殖した場合、海水に含まれる菌やウィルスが体内に蓄積し、生で食べた場合に食あたりすることがある。久米島町は海洋深層水の取水量が全国一で、カキの生育に必要な大量の海水を確保できるほか、亜熱帯気候により、プランクトンの光合成に適した日照量があるなどの利点がある。

 

 海洋深層水は表層水に比べ温度調節が容易で、通常2年程度かかる生育期間を大幅に短縮することができる。ジーオー・ファームは「1年以内」の生育期間を目標に据えており、2020年には年300万個の出荷を目指すという。

 

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沖縄県久米島海洋深層水

 

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久米島の写真(Wikipediaより)

 

陸上プラント養殖の実現には、牡蠣の生育に欠かせない冷たい海水と、餌となる植物性プランクトンを大量に増やせる暖かい気候が必要で、この相反する条件を満たしたのが、海洋深層水の取れる沖縄県久米島であった。

 

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富栄養性のある冷たい海洋深層水と、物性プランクトンを増殖できる熱帯の気候で、陸上養殖が可能になった。

 

ゼネラル・オイスターの沖縄久米島研究所では、亜熱帯地域の "温暖な気候" と、「海洋深層水」の"豊富な栄養素" を活用し、牡蠣養殖の飼料となる「微細藻類」の量生産に向け、東京大学との共同研究で実験を続けている。

さらに、低温の海洋深層水の中に牡蠣の飼料として培養した植物性プランクトンを投入し、完全ウィルスフリー" の牡蠣の生産実験に取り組んでおり、東北大学と共同研究で成貝の栄養分析も行っている。

 

 

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