富山の深層水で育ったアナゴが初出荷

近畿大学水産研究所の富山実験場(富山県射水市)では、これまでも富山湾の水深100mから汲み上げた低温で清浄な深層水を使ったアナゴの養殖を行っていましたが、いよいよその養殖が功を成し、去る2012年10月に富山県内での初出荷がスタートしました。

 

出荷されたのは約3,000尾のマアナゴで、アナゴの中でも一般的に食用とされるもの。富山湾の水深100mの深層水と、地元の特産品であるシロエビの殻入りの餌で育てられた、まさに富山湾が生み出した地場産品です。新たな富山湾の幸にしたいという同研究所の願いから、今後も毎年、富山県内向けに出荷を続けていくそうです。

 


飲食店などに出荷された養殖アナゴ (C) 永芳閣
 
同研究所の村田修教授によれば、この深層水アナゴは「身は癖がなく、あっさりとしていて美味しい」とのこと。アナゴといえばタレをつけた蒲焼きがポピュラーですが、この深層水アナゴは身が引き締まっていて、刺身のような生食でもいけるそうです。

 

この富山の実験場は、地域としても養殖に適していると言います。太平洋側は夏場の海水温が28度ほどと高いため、生育の妨げになってしまいます。そこで2010年に、夏でも海水温20度前後の富山湾に面した地に実験場が移されました。生育に適した低温の海水のある富山湾は、アナゴなどの養殖に向いているそうで、富山実験場の30t円形水槽5面(陸上養殖)を使用し、夏に水温20度前後、冬は12度以上に維持された海水を用いて育てられています。

 

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近畿大学水産研究所 富山実験場の円形水槽で養殖されているアナゴ (C) 永芳閣

 

同研究所は、これまでも富山湾の深層水を活用してアナゴの他にもヒラメやトラフグ、サクラマスの養殖を手がけてきました。特にアナゴは、漁獲量の激減が問題視されていることからも、天然資源に頼らない新たな養殖サイクルへの可能性としても注目が集まっています。

 

参考

 

近畿大学プレスリリース

http://www.flku.jp/file/news20121026.pdf

 

富山新聞

http://3coco.org/a/modules/d3pipes_2/index.php?page=clipping&clipping_id=11962

 

永芳閣

http://blog.eihokaku.net/?eid=940702

 

富山育ちのアナゴ出荷、世界初の完全養殖を目指す

http://toyama-brand.jp/?tid=103467

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