沖縄県久米島では、地中冷却栽培という方法でホウレンソウが栽培されています。
そのホウレンソウが昨年に引き続き、今年も7月半ば頃に出荷が始まったようです。
一般的には、ホウレンソウは秋や冬が旬の野菜であることは広く知られています。
もともとホウレンソウの生育の適温は10度から20度であると言われており、熱に弱く、夏場の沖縄ではとうてい栽培はむずかしいものであるそうです。
では、なぜ沖縄県の久米島のような夏の暑さが厳しい地域において、ホウレンソウの生産が可能なのかと言うと、どうやら「海洋深層水」に秘密があるようなのです。
このホウレンソウ生産に使用されている、地中冷却栽培という手法。
簡単に言えば、これは海洋深層水の冷熱を利用することによって地熱を冷やして栽培する方法です。
久米島の沖縄県海洋深層水研究所では、海洋深層水の様々な研究や実証実験が行われています。
その研究所の実験において、12度に冷却された淡水が地中に配管されており、地温が25度以下に保たれています。これにより、ホウレンソウが外気の暑さをもろともせずに、無事にすくすくと育つことができるのです。
このホウレンソウ栽培は、役場職員や農家の人たちによる久米島海洋深層水農業利用研究会によって行われています。久米島町では、先日海洋深層水による海洋温度差発電の実証事業がスタートしましたが、これに当たり、海洋深層水の複合利用に関して、農業分野から提言することが目的であるそうです。
これも、海洋深層水の「低温安定性」がうまく利用された好例であると言えるでしょう。
また、この海洋深層水の冷熱を利用して栽培されたホウレンソウには、通常のホウレンソウよりもビタミンCの量を高められる可能性もあるそうで、引き続きさらなる研究が進められています。
参考記事
海洋深層水の冷熱使いホウレンソウ生産 2012年7月12日