台湾「海洋深層水」で日本と連携模索新産業育成、経済成長を期待

 台湾は海洋深層水産業の育成に向け、世界的に先行する日本の業界への
協力や提携を求める方針。台湾企業は中国などへの輸出で事業拡大を狙っ
ており、研究開発や商品開発などで日本のノウハウを活用し、台湾経済を支
える新たな産業に育てたい考え。連携が進展すれば、日台合弁による事業
展開という可能性もありそうだ。

≪公的支援も開始≫
 海洋深層水は深度200メートルより深いところにある海水で、化学物質
などによる汚染がほとんどない清浄性や低温安定性、ミネラルなどの栄養分
を多く含むなどの特徴がある。くみ上げて飲料水にしたり、健康食品や化粧品
への応用、さらには冷却水として使えば空調の省エネ化も可能となることから、
環境面からも注目されている。

 日本では深層水関連のビジネスが活発化しており、高知県室戸市や沖縄県
久米島町などでは地場産業として育っている。

 一方で、台湾東岸は太平洋側に面し深層水を取水できる地理的条件が整っている。
ここ数年、民間2社と官民共同出資の1社が深層水事業を立ち上げているが、
商品開発や販路開拓などはこれからという状態。このため、台湾当局では海外市場
開拓に向けて今夏から本格的な支援に乗り出しており、今後は先行する日本のノウ
ハウを導入して産業育成を図りたい考え。

 当局筋は「日本に使節団なども派遣したい」としており、業界団体や個別企業に
協力を呼びかける方針だ。すでに11月24日には台北市内で深層水に関するコン
ファレンスを開催。「日本海洋深層水協会」の理事を講師として招き、日本の技術や
商品化事例などを紹介した。

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日本の海洋深層水産業の現状を聞くコンファレンスの参加者=11月24日、台北市

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 台湾が深層水産業の育成を目指す背景には、半導体や薄型パネルなどで
基幹産業を育ててきたものの、さらなる経済成長を果たすには「新たな産業の
育成が必要」との考えから。飲料水や健康関連需要が高まっている中国という
大市場に近いことも、同産業に注目する理由だ。

≪健康志向追い風に≫
 すでに事業を始めている企業の期待は大きい。台湾当局と民間が共同出資
する台湾東部、花蓮県の「台湾海洋深層水」は、ペットボトル入りの飲料水や
化粧品、食用塩などを商品化している。同社の幹部は「欧州への飲料販売も
目指す。自信はある」と世界展開も視野に入れている。

 同じ花蓮県にある民間の「東潤水資源」は、中国など向けにペットボトル飲料
水の海外販売目標を年間100万ケースに設定。中期計画ではこれを5倍に
引き上げる予定だ。

 同社は、設備増強や新たな関連事業立ち上げなどで総額50億台湾元
(約140億円)を投資する計画。郭清水会長特別補佐は「体によく、環境にも
いい深層水の需要は増える」と、中国などの健康志向を追い風に販路拡大を図る計画。
台湾当局も安全面での監視体制や海外市場開拓に向けた支援体制を強化していく方針という。

2009.12.21 産経新聞より



海洋深層水の注目度は世界レベルになりそう?



 

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