12年前に廃校になった室戸市の旧椎名小学校を改修し、水族館に生まれ変わった。
名前は「むろと廃校水族館」。地元の魚が教室に設置された水槽や屋外プールで、元気に泳ぐ。廃校の校舎が水族館に活用されるのは珍しい。
校舎内に設置した水槽と、屋外プールを活用し、定置網で混獲されたウミガメのほか、沿岸で捕れるブリやサバなど50種類千匹以上を飼育、展示する。指定管理者のNPO法人「日本ウミガメ協議会」(大阪府枚方市)は「地域振興のきっかけになれば」と話している。
椎名小は児童減少により2005年度末に閉校。1階を集落活動センター、2、3階を水族館とする計画が決まり、国から約1億8700万円、県から約4500万円の補助を受け、総事業費約5億円で改修した。
水族館は大小19の水槽と屋外のプールがあり、ウミガメは室戸へ産卵に訪れるアカウミガメ、主に東太平洋に生息するクロウミガメなど10匹がいる。
近海で捕れるブリ、アジ、イシダイなども飼育し、亀田和成・主任研究員は「身近にいる海の生き物についても学んでほしい」と語っている。
亀田主任研究員によると、英語の「スクール」に「学校」と「魚の群れ」の意味があることから群生する種類を集めたり、幼魚を飼育したりするなど、旧校舎を活用する上でこだわりを持っているとの事。
地元漁師による魚のさばき方の指導や、ウミガメの放流などの体験も今後予定していて、室戸ドルフィンセンターや世界ジオパークセンターなど周辺施設との連携、修学旅行生の受け入れなども検討しており、観光客誘致の起爆剤としての期待も大きい。
水族館といえば深海魚。
室戸といえば海洋深層水。
海洋深層水の取水管に混入したグソクムシなどの深海生物も展示する。
ツイッターでは、
「実は彼らは海からお連れしたのではありません。
海洋深層水と共に汲み上げられて来た方々なのであります。」
室戸なので、当然、海洋深層水のアピールも行っている。
スタッフが無心になって釣り続けたサバの大群(数百匹)も展示され、全国でも珍しい廃校利用の水族館に寄せられる期待も大きい。
「むろと廃校水族館」
〒781-7101 高知県室戸市室戸岬町533番地2
開館は午前9時~午後6時(10~3月は午後5時)。年中無休。入館料は高校生以上600円、中学生以下300円。
問い合わせは室戸市観光ジオパーク推進課(0887・22・5161)へ。