室戸海洋深層水飲料でヒトの体内でもピロリ菌抑制効果が確認!!

ピロリ菌増殖抑制!室戸海洋深層水から調製した高ミネラル飲料の作用成分の推定

 室戸海洋深層水※1から調製した高ミネラル水がピロリ菌に及ぼす影響※2について、赤穂化成株式会社と高知大学医学部の共同により、研究が重ねられてきました。今回はその水を構成する主要なミネラル(Mg、Ca、Na、K)ごとの生体外におけるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響について検討され、その研究成果が、第39回日本臨床検査自動化学会(2007年9月28日)で発表されました。
 ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)は、世界人口の40~50%が感染していると想定され、人の胃内に定着・感染し、上部消化管疾患をはじめとした様々な疾患へ関与することが報告されています。現在、ピロリ菌の除菌はプロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質の3剤療法により実施されていますが、耐性菌の出現や薬の副作用などによる除菌不成功例の増加が問題視されています。
 今回の研究では、ピロリ菌に対する高ミネラル水の作用機構の解明に向けて、高ミネラル水に含まれる主要なミネラル(Mg、Ca、Na、K)の塩溶液を作製し、ピロリ菌に対する増殖抑制及び運動性抑制効果について検討が行われました。
 その結果、増殖抑制及び運動性抑制効果は菌株により差が見られましたが、全てのミネラルで濃度依存的な抑制効果の上昇が見られ、特にNa、Kと比較して、Mg、Caの方がより低い濃度で増殖抑制・運動性抑制効果を示す傾向が認められました。したがって、ピロリ菌の増殖や運動性を抑制するには、Na、KよりもMg、Caを多く含む水の方がより効果的であることが示されました。

※1:室戸海洋深層水
一般的に海洋深層水とは、太陽の光さえ届かない水深200m以深の水温が急に冷たくなっている層にある海水のことをいいます。その海水は陸水や大気由来の化学物質にさらされる機会が少ないため、きわめて清浄です。「室戸海洋深層水」は、高知県室戸沖の水深344mから汲み上げられた水をいいます。

※2:研究成果
1)『室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水「海の深層水 天海の水硬度1000」による室戸海洋深層水100%飲料(硬度1000)、ピロリ菌の増殖抑制に及ぼす影響』(2005年9月30日「日本臨床検査自動化学会第37回大会」で発表)
2)『室戸海洋深層水から調製した5種類の高ミネラル水による、ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響』(2006年5月24日「106th General Meeting[American Society For Microbiology]」で発表)
3)『室戸海洋深層水から調製した硬度の異なる水による、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響』(2006年10月13日「日本臨床検査自動化学会第38回大会」で発表)
4)『室戸海洋深層水から調製したミネラル比の異なる高ミネラル水による、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響』(2006年11月10日「第53回日本臨床検査医学会」で発表)

■研究員

竹内啓晃、杉浦哲朗   (高知大学医学部 病態情報診断学教室)
山本悦子、安川岳志、中川光司、池上良成 (赤穂化成株式会社)

■研究内容

テーマ 室戸海洋深層水から調製した高ミネラル飲料の作用成分の推定
ミネラル(Mg、Ca、Na、K)ごとのヘリコバクター・ピロリ菌に対する増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響

研究期間 2006年2月~2007年5月

試験水および使用菌株
[試験水] MgCl2、CaCl2、NaCl、KCl溶液
(カチオン(陽イオン)濃度を一定にした溶液〔カチオン濃度:983mg/L、1966 mg/L、3933 mg/L〕、アニオン(陰イオン)濃度を一定にした溶液〔アニオン濃度:3640 mg/L〕を作製)
[対照水] ミリQ水
[使用菌株] 臨床分離株を中心に約51株
KMTシリーズ:高知大学医学部附属病院臨床分離株
NYシリーズ:抗生物質(メトロニダゾールおよびクラリスロマイシン)耐性株(日本株)
NTCC11637株:臨床分離株(米国株)
26695株:遺伝子レベルまでよく解析されている臨床分離株(欧州株)
HPK5:臨床分離株(日本株)
HPKT510:遺伝子組み換えにて作製したHPK5のcdrA遺伝子(細胞分裂関連遺伝子)破壊株
[培地組成]
58_R_R.jpg

■増殖抑制試験方法

 ブルセラブロス寒天培地(馬血清10%添加)より十分に生育したピロリ菌を集菌し、ブルセラブロス培養液に懸濁しO.D.600=0.4になるように調整後、この溶液を104、105、106倍に希釈。試験水または対照水を含む寒天培地に希釈した菌懸濁液を10μLずつ滴下後、37℃、CO2 10%環境下で3日間培養し、コロニー数(CFU)を測定。

■運動性抑制試験方法

  ブルセラブロス寒天培地(馬血清10%添加)より十分に生育したピロリ菌を試験水または対照水を含む軟寒天培地に接種。37℃、CO2 10%環境下で7日間培養し、コロニーの直径を測定。

■評価方法

 対照におけるコロニー数、コロニーの直径を100%として、カチオン濃度を一定にした試験水では増殖抑制効果と運動性抑制効果を判定。アニオン濃度を一定にした試験水では増殖抑制効果を判定。試験は3回以上行い、対照に比して80%より小さい値を示したものを増殖抑制効果・運動性抑制効果ありと判定。試験は3回以上行い、複数回の試験において、抑制効果を示した試験の割合が50%以上のものを増殖抑制効果・運動抑制効果ありとした。
 なお、増殖抑制の評価では、試験水に於いてコロニーサイズが対照水に比べて明らかに小さい場合でもコロニー数が同等であれば、効果なしと厳しく評価した。(コロニーサイズは菌数を反映するため、コロニーサイズが小さいことは増殖抑制されていると生物学的に解釈される。)

効果のあった試験回数/総試験回数 > 50% ⇒ 増殖・運動性抑制効果ありと判定

■試験結果

1)増殖抑制試験、運動性抑制試験共に、全ての主要なミネラルにおいて濃度依存的に抑制効果が見られた。
2)同濃度では、Na、Kと比較してMg、Caで高い増殖抑制効果・運動性抑制効果が見られた。
59_R_R.jpg

 

61_R_R.jpg

□資料提供:赤穂化成株式会社
・発表日:2007年9月28日
・発表会名:第39回日本臨床検査自動化学会
・発表者:赤穂化成株式会社

MENU

PAGE TOP