海洋深層水より調製した高ミネラル水硬度1000のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響

ピロリ菌増殖抑制!海洋深層水より調製した高ミネラル水硬度1000のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響


 海洋深層水より調製した高ミネラル水のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響についての検討が赤穂化成株式会社と高知大学医学部との共同で行われ、日本臨床検査自動化学会第37回大会(2005年9月30日)で発表されました。
 ヘリコバクター・ピロリ菌は人の胃内に定着・感染し、上部消化管疾患をはじめとした様々な疾患への関与が報告されています。現在、ピロリ菌の除菌にはプロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質の3剤療法により実施されていますが、耐性菌の出現や副作用などによって除菌不成功例が増加しています。
 今回の試験では室戸海洋深層水100%飲料※1が用いられ、対照水にはミリQ水※2を使用。Brucella Broth(馬血清10%添加)寒天培地で生育したピロリ菌とBrucella Broth培養液との懸濁液を適宜希釈し、この希釈溶液を試験水及び対照水を含む寒天培地に10μlずつ滴下後、37℃、CO210%環境下で培養し、3日後のコロニー数を測定。評価は対照におけるコロニー数を100%として、室戸海洋深層水100%飲料のピロリ菌増殖抑制効果が判定されました。その結果、室戸海洋深層水100%飲料はピロリ菌に対して増殖抑制を示し、ピロリ菌の種類によってその抑制効果に違いがあることが明らかとなりました。
室戸海洋深層水100%飲料は、生体に対する作用機序が医科学的にも徐々に解明されてきており、整腸作用や生体免疫力に影響すると同時に、生活習慣病などに対する予防的効果も期待されています。このような背景をもとに、今回の研究では、普段の生活のなかで飲料水が手軽に摂取できることに着目し、室戸海洋深層水100%飲料のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響について検討を行ったものです。

※1:室戸海洋深層水100%飲料成分構成・・Mg:200mg/L、Na:74mg/L、Ca:71mg/L、K:69mg/L、硬度1000mg/L
※2:ミリQ水・・・・・純水製造装置で濾過した水

■研究員

杉本千鶴子、竹内啓晃、杉浦哲朗 (高知大学医学部病態情報診断学教室)
安川岳志、中川光司、池上良成 (赤穂化成株式会社)

■研究内容

テーマ 海洋深層水より調製した高ミネラル水のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響
研究期間 2005年5月~7月
試験水 
[試験水] 室戸海洋深層水100%飲料
(Mg:200mg/L、Na:74mg/L、Ca:71mg/L、K:69mg/L)
[対照水] ミリQ水
[使用菌株] 臨床分離株を中心に約60株
KMTシリーズ:高知大学医学部臨床分離株
NYシリーズ:抗生物質(メトロニダゾールおよびクラリスロマイシン)耐性株(日本株)
26695株:遺伝子レベルまでよく解析されている臨床分離株(欧州株)
NCTC11637:臨床分離株(米国株)
CPY3401:臨床分離株(日本株)
SS-1:臨床分離株(豪州株)
HPK5:臨床分離株(日本株)
HPKT510:遺伝子組み換えにて作製したHPK5のcdrA遺伝子(細胞分裂関連遺伝子)破壊株

■方法

・Brucella Broth寒天培地(馬血清10%添加)より充分に生育したピロリ菌を1白金耳採取し、2.8%
Burucella Broth培養液1mlにO.D.600=0.3になるように懸濁。

・その後、10-4、10-5、10-6に希釈し、試験水または対照水を含む寒天培地に10μlずつ滴下後、37℃、CO2 10%環境下で培養し、3日後のコロニー数を測定。

・ピロリ菌は、日本の臨床分離株(種々の上部消化管疾患患者より採取)および26695株など約60株を使用した。

■試験結果

 対照におけるコロニー数を100%として、室戸海洋深層水100%飲料のピロリ菌増殖抑制効果を判定した。試験は3回以上行い、対照に比して80%より小さい値を示したものを増殖抑制効果ありと判定。複数回の試験における、増殖抑制効果の割合(%)で評価した。
〔増殖抑制効果の割合(%)=効果のあった試験回数/総試験回数〕
 結果、室戸海洋深層水100%飲料はピロリ菌に対して増殖抑制を示した。ピロリ菌の種類によってその抑制効果に違いがあった。

100% :KMT11、KMT36、KMT46、NY31  [下表内★で表示]
75~99% :KMT42    [下表内◎で表示]
50~74%  :KMT5、KMT25、KMT27、KMT34、KMT39、KMT40、KMT49、KMT50、NY8、
NY13、HPK5    [下表内○で表示]
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□資料提供:赤穂化成株式会社
・発表日:2005年9月30日
・発表会名:日本臨床検査自動化学会第37回大会
・発表者:赤穂化成株式会社

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