海洋深層水から天日塩 富山県滑川市の試み

滑川市は、富山県の東部にあり、ホタルイカが有名で、かつては北陸街道の宿場町として栄えた事でも知られています。

その滑川市が海洋深層水分水施設「アクアポケット」敷地内に、火を全く使わずに、海洋深層水から天日干しの塩を作る施設をオープンしました。滑川市は月に数日、その海洋深層水の天日塩の販売を予定しています。

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この「アクアポケット」は富山県滑川市中川原の「道の駅 エーブパークなめりかわ」すぐ近くに隣接をしており、「道の駅 ウエーブパークなめりかわ」には、海洋深層水を利用したジャグジープール「タラソピア」や「ほたるいかミュージアム」もあり、海辺のリゾートパークとして地元でも人気のスポットであります。

「アクアポケット」とは、水深333メートルの地点から深層水を汲み上げて、脱塩装置を用いることで6種類の海洋深層水を提供する海洋深層水分水施設で、深層水の販売の他、海洋深層水を紹介する展示・体験コーナーや、研修室が備えられています。

さて、天日干しの塩を作り出す設備は、その施設の中にある28個の結晶箱に、海洋深層水分水施設「アクアポケット」で分水した海洋深層水をそれぞれ入れ、太陽熱で蒸発させて塩を作るシンプルなものとなっている。年間で最大680キロを製造ができ、夏場は1カ月ほどで出来上がるようである。海洋深層水を使うことで、よりミネラルが豊富な塩になるという訳である。

 

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結晶箱に海洋深層水を注ぐ上田市長(右から2人目)ら出席者
北日本新聞 20170405 一部転載

 

 

上田滑川市長は「天然の塩は健康や美容に良い。施設は、『海洋深層水の町』のシンボルになる」と話され、今後さらに大型の施設を作る考えがあることを明かされました。

そもそも、富山湾の広さは約2,120平方キロメートル、最深部は1,000m以上あり、駿河湾や相模湾と並んで我が国で最も深い湾の一つであり、その海水は三つの層で構成されており、海岸に近いところには河川などの影響を受けた塩分の低い「沿岸表層水」、その下層から200300メートル付近には「対馬暖流系水」、そして300メートル以深には低温の「日本海固有水」が無尽蔵に存在し、この日本海固有水が「深層水」と呼ばれ、何と富山湾の容積の約6割を占めています。富山県では、深層水の低温安定性を利用し、トヤマエビなど冷水性魚介類の増養殖に活用しています。これにより、表層水を生存環境に適した低温まで下げていたコストを大幅に抑えることができているのです。

 

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富山湾には、滑川市に2つ、入善町に1つの取水施設があり合計3つの深層水取水施設があり、日本中を見回しても3つの取水施設がある地域はありません。  なぜ富山に取水施設が多いのかというと、富山湾の入口が大きく開き、水深が非常に深く、海岸近くまで崖がせまっているため、 深層水の取水施設を建設する際、取水する管が短いもので済み、建設費がかからないのが1つの理由です。 もう一つの理由は、これまでに深海生物の研究対象としてきたホタルイカ、ベニズワイガニ、バイなどが入手しやすく、 深層水との関係を調べる研究を行いやすい状況にあったからです。  ちなみに、滑川の取水量は2つで一日5,000トン、入善の取水量は2,400トンであり、富山湾で1日に取水されている深層水の総量は何と7,400トンです。

 

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アクアポケット

 

 

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